紙管(しかん)を用いた建築など、ユニークな構造で知られる建築家。1957年生まれ。アメリカで建築を学び、ハノーバー万国博覧会の日本館(2000年)やポンピドゥーセンター・メス(10年)など、海外の仕事を多く手がける。ルワンダの難民のシェルターほか、1995年阪神・淡路大震災後の紙の教会、大地震が起きた中国四川省に建てた小学校、東日本大震災後の女川町における仮設住宅など、被災地を支援するプロジェクトも多く実現した。地震の被害を受けたニュージーランドのクライストチャーチ大聖堂(2013年)も、紙管とコンテナを用いて建設されている。彼はテンポラリーな構造に強いことを生かし、水戸芸術館の個展「建築の考え方と作り方」(13年)では、多くの作品を1分の1の実物で展示した。またチューリヒに竣工したタメディア新本社ビル(13年)では、7階建てという画期的な大規模の木造建築を実現している。ここでは梁の断面を楕円形とし、ジョイント部分に接合金物を使わない、木ならではの構造を追求した。また、東京・銀座のスウォッチ・ビル(ニコラス・G・ハイエックセンター 07年)に続き、スウォッチとオメガの新本社の設計者に選ばれ、木造グリッドシェルなど、大胆な構造を試みる予定である。