独自のデザイン思想を唱え、世界的に活躍した建築家(1934~2007)。1960年代にメタボリズム運動のメンバーとして登場し、国立民族学博物館(77年)やクアラルンプール国際空港(98年)などを設計した。2007年には、大胆なガラスの曲面と機能的な展示システムをあわせもつ国立新美術館がオープンした後、都知事選と参議院の選挙に立候補したことでメディアをにぎわせた。この行動は、一見、荒唐無稽に思えるが、彼がずっと追求していた都市デザインを実現する究極の手法ともいえる。実際、石原慎太郎の東京中心主義に対抗するビジョンを掲げていた。黒川は共生新党も結成したが、「共生」とは西洋的な二元論と違う価値観をあらわす彼の言葉として以前から論じていたものである。