建築ユニットSANAAの西沢立衛(1966~)がコンペに勝利し、設計を手がけたユニークな美術館。2008年4月にオープンした。第一の特徴は、都市に対する開放的な空間である。通りに向けて大きなガラスの開口部をもつために、屋内の作品も、外からよく見える。ほとんど屋外展示の感覚に近い。第二の特徴は、白い箱がばらまかれたような分棟形式である。大小さまざまな展示室が集落のように並ぶが、まわりの環境を意識して箱のサイズと配列を決めており、建築も都市と対話している。第三の特徴は、曲がりくねった透明なガラスの廊下が、それぞれの部屋をつなぐこと。そして第四の特徴は、常設展示では、アーティストと議論しながら、箱の大きさや開口部をデザインしたことである。ゆえに、それぞれがアートの家になっている。これだけ都市に対して思い切り開く、個性的な箱が集合した美術館は、世界にも類例がない。