妹島和世と西沢立衛(1966~)が1995年に結成した設計事務所。透明感あふれる開放的なデザインによって注目を集め、世界的にも高い評価を得ている。ランドスケープ(景観)と一体化したマルチメディア工房(96年)によって、日本建築学会賞を受賞。大胆な空間の形式とガラスを多用したファサード(建物の正面)のデザインを得意とする。金沢21世紀美術館(2004年)は、全面ガラス張りの円形プランの建築である。建物の奥に進んでも、街の風景が視界に入り、外気に触れる中庭も用意され、内部と外部が浸透しあう。06年、アメリカにトレド美術館ガラスパヴィリオンが開館した。スイスのローレックス・ラーニングセンター(10年)では、自由な曲線を大胆に使う。10年にはSANAAとして建築界最高峰のプリツカー賞を受賞し、アジア人、また女性として初めて妹島はヴェネチアビエンナーレ国際建築展2010のディレクターをつとめた。そして国際コンペに勝利し、SANAAが手がけたルーブル美術館別館のルーブル・ランス(12年)では、外壁と内壁のアルミパネルに周囲の風景や展示物が映り込み、建築と環境の新しい関係性を提示する空間を実現している。この作品で14年1月、フランスの優れた建築に与えられる2013年「銀の定規賞」を受賞。