独自の立場から現代建築に批評的な視座を提出する建築家。1944年生まれであり、野武士と呼ばれたポストモダンの世代に属する。主著の「秋葉原感覚で住宅を考える」(84年)では、デザインの問題ではなく、建材の流通システムのレベルから再考し、既成の建築の概念を再構築した。石山は、コルゲートパイプの茶室や幻庵(75年)、漆喰(しっくい)の職人を活用した伊豆の長八美術館(84年)、造船技術とジュラルミンを使うリアス・アーク美術館(94年)、そして市民が煉瓦(れんが)を積んだカンボジアのひろしまハウス(2006年)など、新旧混ぜこぜの素材や装飾とテクノロジーの感覚により、ユニークな建築を送りだしてきた。世田谷美術館の「建築がみる夢」展(08年)では、ヨット乗りが無人島で暮らすための家や菜園のデザインや、社長が企てたエネルギーを自給自足する村の計画など、個性的な施主との出会いから生まれたプロジェクトが紹介された。