本来、アルゴリズムとは、数学やコンピューターのプログラムに用いられる演算手続きを示すルールを意味する。近年、この概念は意味を拡張しつつ、建築の分野でも頻繁に使われるようになった。その背景としては、やはり設計の現場におけるコンピューターの普及が挙げられる。例えば、伊東豊雄(1941~)によるサーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン2002は、正方形を回転させながら外接させるというシンプルなルールをもとに形態を生成し、複雑な空間を生みだす。また渡辺誠(1952~)は、東京の地下鉄飯田橋駅において独自のコンピュターのプログラムを利用して設計を行う。旧来の建築とは異なる動的なデザインを求めるときに、アルゴリズム的な手法は用いられる。また建築家がすべてを決定するのではなく、あえてルールに任せることで、想定できない多様な空間のあり方を組み込むのにも役立つ。その結果、自然を模倣したかのようなデザインが生まれる。