東京ガスが主催した「プリミティブな暮らし」をテーマに住宅を再考するプロジェクト。都市の均質な生活に埋没するのではなく、自然を感じながら、人間の身体的な感覚や動物的な本能を喚起する新しい住みかのあり方が求められた。その結果、2008年11月、藤森照信(1946~)、西沢大良(1964~)、藤本壮介(1971~)による実験的なモデルハウス3棟と、総合プロデューサーを務めた伊東豊雄(1941~)によるインフォメーション・パビリオンが栃木県宇都宮市に登場する。それぞれの作品には世代の異なる建築家の個性が色濃く投影された。伊東のパビリオンは、樹木のかたちを模した複雑な骨組みによるガラスの直方体。焼き杉を外壁に使う藤森の住宅は、ハシゴで上って入る茶室が特徴である。西沢は、半透明の屋根とほぼ全面を開閉できる建具にすることで、光や通風など自然と直接にかかわる平屋の暮らしを提案した。そして藤本の家は、無造作に積み木をばらまいたかのような白いキューブ群である。