モード学園コクーンタワーは、2008年に東京の新宿駅西口の前に完成したユニークな形状のビルである。設計は丹下都市建築設計によるもので、学校法人モード学園の系列の3つの専門学校が入る。高さは1番ではないが、コクーン(繭〈まゆ〉)をイメージした外観は、没個性的なビル群のなかで圧倒的に目立つ。丹下都市建築設計としては丹下憲孝(1958~)が率いたものだが、父の丹下健三(1913~2005)が設計した新宿の東京都新庁舎(1991年)に匹敵するランドマークとなった。しかし、御影石の外壁におおわれた東京都庁舎に対し、ガラス張りのコクーンタワーは透明感を志向し、時代の変化を反映している。名古屋のモード学園スパイラルタワーズと同様、コンペによって設計者が選ばれており、日本では珍しく個性的なデザインを求める施主の意向が直接的に反映された。また2009年、コクーンタワーは、優れたデザインの高層ビルに与えられるエンポリス・スカイスクレーパー賞を日本では初めて受賞している。