1980年代にはポストモダン、90年代以降はミニマルなデザインや日本的な建築表現を追求している建築家。1954年生まれ。文化施設から商業施設まで幅広く手がけ、国内外で多くのプロジェクトを抱える。木や石など自然素材を生かした繊細なディテールや、格子を多用し、内部の柔らかな採光や外からの見え方にこだわりをもって設計を行う。栃木県の那珂川町馬頭広重美術館(2000年)や東京・六本木のサントリー美術館(07年)は細い木の線を用いて和の空間をつくり上げた。一方、線状のルーバー(格子)を用い、建物を分節していくデザインは、中国やフランスなどの海外でも活用し、グローバリズムにも巧みに対応させている。新潟県のアオーレ長岡(12年)では屋根のある広場をかかえた新しい市庁舎の姿を提示し、富山県の複合施設TOYAMAキラリ(15年)はダイナミックな吹き抜け空間を実現した。東京では浅草文化観光センター(12年)や、歌舞伎座の外観を残しつつ、その上部にオフィスビルを接ぎ木したGINZA KABUKIZA(13年)が竣工(落成)したほか、16年には新国立競技場の新整備計画の設計者に選ばれ、20年春開業予定のJR品川新駅のデザインアーキテクトに起用されるなど、東京の顔となるプロジェクトに数多く関わっている。