2015年12月、2020年東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場のコンペの勝者に大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体(JV)が選ばれた。隈案は鉄骨と木のハイブリッド構造によるスタジアムの屋根や、木材をふんだんに用いた細やかな造作、また外周部をプランターの緑で覆うほか、自然環境への配慮と木材の利用などをデザインの特徴とし、19年11月に竣工(落成)予定である。そもそも新国立競技場の計画は、12年に国際コンペでザハ・ハディド(Zaha Hadid 1950~2016)案が選ばれていた。日建設計らと共に進められていたが、造形の奇抜さや東日本大震災(11年)を契機とした総工費の高騰や明治神宮前の景観の問題について国民的議論となり、15年7月に白紙撤回された。仕切り直しのコンペでは、設計・施工一括(デザインビルド)での応募や「日本の伝統的文化を現代の技術によって新しい形として表現する」などが求められ、隈研吾と伊東豊雄の2案のみが提出された。東京オリンピック・パラリンピックのほかの施設も、工事費の高騰が問題化している。16年、小池百合子が東京都知事に就任後、新築予定だったボート・カヌー、バレーボール、水泳の会場の見直しを掲げ、一時他県での開催も検討された。規模・経費の縮減で決着がついたものの、負担の分担をめぐって混迷が続いている。