開館10周年を記念して、2014年11月に始まった金沢21世紀美術館の画期的な建築展。ポンピドゥーセンターと共同で企画され、同館副館長であるフレデリック・ミゲルーが監修を務めた。1945年から2010年までの戦後日本の建築史をまとめて扱う初の展覧会であり、公立の美術館で開催された意義は大きい。また250点を超える膨大な原資料を展示し、改めて日本において建築アーカイブを整備する必要性を喚起した。内容は、六つのセクションで構成されるが、破壊された建築の断片の提示から始まり、1950年代のモダニズム、60年代のメタボリズムや、70年代の大阪万博、ポストモダンやフォルマリズムなどの展示が特筆される。なお、同時に金沢21世紀美術館では、建築評論家五十嵐太郎とコミュニティーデザイナー山崎亮をゲストキュレーターに迎え、東日本大震災の後、重視されるようになった社会と建築の関係に焦点をあてた「3.11以後の建築」展もスタートした。