アメリカの白人を主な聞き手とするポピュラー音楽の一種。ヨーロッパからの移民が運んできた民謡やダンス音楽が変化して生まれた。1920年代後半にアメリカ南部で録音がはじまったころ、アパラチア山脈周辺のイギリス各地からの移民の音楽が数多く紹介されたため、その発展形が主流になっている。初期の人気者にはカーター・ファミリー(The Carter Family)やジミー・ロジャーズ(Jimmie Rodgers 1897~1933)がいる。30年代にはテネシー州ナッシュビルのレコード会社がヒット狙いの新曲を田舎者を意味するヒルビリーという名で売り出し、南部一帯にラジオを通じて広めた。50年代ごろからカントリー&ウェスタンあるいはカントリーと呼ばれ、ハンク・ウィリアムス(Hank Williams 1923~53)らのホンキー・トンク・スタイルが人気を集めた。エルビス・プレスリー(Elvis Presley 1935~77)がカントリー歌手としてデビューしてからロックとの交流が進み、60年代以降のカントリーのサウンドにはロックの影響を受けたものが多い。他に30年代以降のテキサスのウェスタン・スウィングやカウボーイ映画の音楽ウェスタン、40年代以降のケンタッキー州のブルーグラス、60年代以降のカリフォルニア州のベイカーズフィールド・サウンドなど、サブジャンルも数多く存在する。