アメリカのカントリー・ミュージックの一種。1940年代にケンタッキー州で生まれた。名前はケンタッキー州に生える野草にちなむ。他のカントリーとちがって、歌以上に演奏が重視され、ジャズの影響を受けた即興をまじえながらマンドリン、バンジョー、フィドル、ギター、ベースなどの弦楽器によって高速度で演奏される。ブルーグラスの父と呼ばれるビル・モンロー(Bill Monroe 1911~96)、彼のバンドにいたレスター・フラット&アール・スクラッグス(Lester Flatt & Earl Scruggs)、バージニア州のスタンリー・ブラザーズ(The Stanley Brothers)らが最初に広めた。エルビス・プレスリー(Elvis Presley 1935~77)は初期にビル・モンローの「ブルー・ムーン・オブ・ケンタッキー」をとりあげてロックンロールとブルーグラスの最初の橋渡しをしたが、ロック世代のミュージシャンとの交流が進んだのは60年代後半以降。21世紀に入ってからもリッキー・スキャッグス(Ricky Skaggs 1954~)、ベラ・フレック(Bela Fleck 1958~)、アリソン・クラウス(Alison Krauss 1971~)、パンチ・ブラザーズ(Punch Brothers)など数多くのミュージシャンが活躍している。