音楽において、譜面に書かれていない、あるいはあらかじめ決められていない演奏や歌を即興的に行うこと。即興演奏。この言葉は現在ではジャズ、ロックなどのポピュラー音楽で使われることが多いが、記譜することが一般的でない世界各地の民俗音楽(民族音楽)や、主旋律しか記譜されなかったルネサンス以前の古楽では、即興演奏が普通に行われてきた。譜面通りに演奏すると思われているクラシックも即興と無縁ではなく、バッハやモーツァルト、ベートーベンなど大作曲家の多くは、彼らの時代においては即興演奏の名手として知られていた。一定のコード進行や旋法を尊重して行われる即興もあれば、一切の約束事なしで行われる即興もある。即興は通常は曲を修飾したり変化を加えたりするために演奏の一部分で行われるが、即興自体を目的とする音楽もあって、そちらはインプロバイズド・ミュージックと呼ばれる。