カチッという音のする道具(クリッカー)を使って行う動物のトレーニング法。してほしい行動をした瞬間にクリッカーを鳴らしてエサなどのほうびを与えることにより、クリッカーの音と行動とを関連づけさせ、その行動を自発的にするよう学習させる方法(陽性強化)。1960年代からイルカの調教に利用されていたが、動物園飼育動物やペットのトレーニング法として広がりをみせている。動物園では動物を移動させたり診察したりする時の手段として、ペットでは問題行動の矯正やしつけ、さらには遊びのためのコミュニケーション法として取り入れられている。強制したりしかったりする必要のないトレーニング法として注目されている。同様のトレーニングは笛や鈴などを使用しても可能だが、クリッカーはハンディであることや行動とのタイミングを合わせやすい点が利点とされる。いずれもオペラント条件づけ(ヒトを含む動物の自発行動による直後の環境変化に応じてその自発行動の頻度が変化すること)の論理に基づくもので、条件づけが定着すると動物の世話や治療などに関する幅広いトレーニングとしての活用が期待できる。動物にストレスを与えることなく管理するという意味で、ハズバンダリートレーニング(husbandry training)ともいう。