英国式庭園。本来の英国式庭園とは、18世紀に始まったイギリス貴族の館のランドスケープガーデン(landscape garden)とよばれる、広大な風景式庭園である。一方、現在日本でイングリッシュガーデンといわれているのは、19世紀に田舎家の庭として普及したコテージガーデン(cottage garden)と、その流れをくむ現在のイギリス家庭の庭と解釈してよいであろう。コテージガーデンのイメージは、周囲の田園風景に馴染んだ自然なたたずまいの美しい庭で、庭木と芝生と草花と小道で造形され、ところどころに、ガーデンファニチャー、彫刻などが芸術的に配置される。庭木は、樹形、葉色、花、香りなどが優れ、四季の変化が楽しめるものが選ばれ、またイギリス人の好きなバラ、特にオールドローズが植えられる。草花は、野草的な雰囲気で、しかも据え置き栽培ができるため管理がしやすい宿根草や球根草花が多く用いられる。また料理などに欠かせないハーブも植えられる。現在のイギリス家庭の庭には、樹木を幾何学図形や動物などの形に刈り込むトピアリーや、ハンギングバスケット(→「コンテナ栽培」)、トレリス(植木鉢を掛けたり、つるをはわせたりするため木材を格子状に組んだもの)なども加わっているが、それらの人工的オブジェも、イングリッシュガーデンらしさを構成する重要な要素となっている。