2009年独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構花き研究所が育成した、世界初の萎凋細菌病(いちょうさいきんびょう)抵抗性カーネーション品種。萎凋細菌病とは、Burkholderia caryophylli菌による病害で、葉が緑色のまま枯れ、はなはだしい場合はその畑の全株が枯れる。日本の暖地におけるカーネーション栽培上最も重要な土壌伝染病害とされ、一般にはプラスチック製のあぜ板などで地面から隔離する隔離ベンチ栽培や、土壌消毒、無病苗の利用等により発病を回避している。しかし、いったん発病すると拡大を止める有効な薬剤がないため、抵抗性品種の開発が強く望まれていた。そこで、花き研究所では、1988年から抵抗性を持つ遺伝資源の調査を開始。有望な育種素材として、カーネーションが属する野生種の中からダイアンサス・キャピタタス(Dianthus capitatus)を見つけ出し、これを中心として、15年以上交配・選抜を繰り返した。またその過程でDNAマーカーを利用することによって、選抜の効率化を図った。その結果、病害抵抗性に加え、切り花品質も優れる一茎一輪咲きのスタンダード系品種を育成した。同研究所が先に育成したミラクルルージュに由来する深紅のかれんな花を咲かせることから、「花恋ルージュ」と命名。2010年2月に品種登録申請を行った。なお、「花恋」は「枯れん」にも通じているという。