カメムシ目腹吻亜目カイガラムシ上科に分類される昆虫の総称。通常28科に分類され、世界で約7300種、国内でも400種以上が知られているが、その倍はいるとする説もある。果樹や樹木、観葉植物、ラン、サボテンなど、幅広い植物を害する。コナカイガラムシなど、一部の種類は一生を通じて移動できるが、マルカイガラムシ、カキカイガラムシなどのカラを持つ種類は、孵化(ふか)後数時間は移動できるが、やがて脚が退化し、適当な場所に固着する。固着した虫は糸のように細い口を葉や茎に食い込ませて樹液を吸い、植物の生育を妨げたり、果実の商品価値を落としたりする。また、排泄物(はいせつぶつ)に黒いすす状のカビが発生して葉を覆うすす病(→「アブラムシ」)となり、光合成を阻害。別の種類のカビは膏薬(こうやく)を貼ったような被膜で枝や幹を覆うコウヤク病を引き起こし、美観を損ねるばかりか、発生部位を枯らすこともある。一方で、過剰に摂取した糖分はロウ質の分泌物に変換され、体表面を保護する虫体被覆物(介殻 カイガラ)となる。この介殻が薬剤を遮断するため、防除を極めて困難にしているが、成虫になる前の幼虫には薬剤は有効なので、適期とされる5~7月に、スミチオン、オルトランのような登録農薬(→「農薬取締法」)を散布する。ただし、断続的に孵化を繰り返す種類では、秋まで定期散布が必要となる。この防除により翌年の発生を抑制することができる。成虫はハブラシ等でこそぎ落とすのが最も効果的だが、樹木やカイガラムシの種類によっては、マシン油乳剤を散布して防除することもできる。他方イボタロウムシのようにロウソクやワックスの原料となったり、コチニールカイガラムシのように食紅や染料などに用いられる種類もある。