HDRは、従来のテレビシステムよりも表現できる明暗差が大きく、肉眼で風景を見るのに近い自然な映像を扱うことができる新技術。カメラでのHDR(ハイダイナミックレンジ合成)は、露出を変えて連続撮影した複数の写真を合成するなどして、写真の画像を肉眼で見たときのそれに近づける技術なので、似て非なるものといえる。そもそも、地上デジタル放送などの従来のテレビシステムは、人間が知覚できる明暗の差を表現できないため、視覚が鈍感となる「明るい部分」の信号を圧縮していた。対してHDRでは、その圧縮の度合いを緩めることができ、映像の基本的な見え方はそのままに、太陽のまぶしさをはじめ、夜景のライトや夜空の星の輝きをも表現できるようになる。高画質の要素は、画素の細かさによる解像度と同等以上に明暗を表現するコントラストが重要と考えられており、専門家の間では4Kよりも高画質化効果が体感しやすいといわれている。HDRには複数の方式があり、国際標準的な「HDR10」、ドルビーの「Dolby Vision(ドルビービジョン)」、NHKとBBCによる「HLG(Hybrid Log-Gamma)」などが代表的。