通常のカメラは一定の画角を捉えるのに対し、360度カメラは文字通り周囲360度全ての方向を同時に、静止画、または動画で収録する。1枚のレンズでレンズの水平視野角が360度、垂直視野角が200度前後という半天球タイプと、複数のレンズを使って水平・垂直視野角ともに全方位を撮影できる全天球タイプがあり、後者は全天球カメラ(omnidirectional camera)とも呼ばれる。個人用カメラもすでに多数の製品が発売されているほか、各種ライブやスポーツなどの360度映像の作品を商業用として配信する事業者も増えている。
360度カメラで撮影した映像は、視聴者が見たい方向の映像を任意に選択することができる。たとえば、ライブコンサートのような映像では、自由に視点が選べることで、観客席にいるかのような没入感が得られる。また、個人で撮影した映像も、視聴者が興味に応じてアングルを選べるので、楽しみ方が広がる。今後はスポーツ中継などでも採用が増えそうである。視聴に際しては、スマートフォンのような端末や、VRゴーグルを利用するなど、視点を直感的に選択できる機器が適している。また、360度とワイドな画角であることから、撮影に際してはより高精細な4Kや8K技術が活用される見込み。