自動車の排出ガスに関する法規制。世界の主要な自動車市場となっている日本、アメリカ、ヨーロッパにおいて自動車の排出ガス規制が、2010年までに大幅に強化される。クルマの排ガスに含まれる代表的な有害物質のうち、窒素酸化物(NOx)は光化学スモッグや酸性雨の原因となり、黒いススである粒子状物質(PM)は肺に入るとぜんそくなど呼吸器系の障害を引き起こす。日本では1992年より排出ガス規制を大幅に強化し、道路運送車両法の保安基準を段階的に改正するなどして対応を図ってきた。現行規制は2005年施行の「新長期規制」と呼ばれ、ガソリン車、ディーゼル車ごとに各物質の規制値が異なる規制が設けられている。09年には、現行の3分の1程度に上限が引き下げられたさらに厳しい規制が実施される見込みだ。アメリカは10年以降の新規制でNOx排出量を大幅に制限する予定で、一方、ヨーロッパの08年以降の新規制「ユーロ5」は、NOx、PMとも日米に比べて緩い内容になった。ただし、ヨーロッパでは温室効果ガスの一つである二酸化炭素(CO2)の排出規制が厳しく、そのためCO2排出量で有利なディーゼルエンジンが主流とされ、PMの排出を抑えるコモンレールディーゼルエンジン(common-rail diesel engine→「クリーンディーゼル」)の普及が著しい。