車に取り付けた車載器と料金所のアンテナ間を無線で交信することで、料金所で停止することなく通過することができるシステム(通過時の指定速度は時速20キロ以下)。サービス開始は2001年からだが、当初は機器導入の個人負担や手続きの煩雑さなどから、車載器購入ユーザーが増えず普及が危ぶまれたが、数々の割引サービスが導入されたことで、14年11月には総セットアップ累計6400万件を突破。利用率も9割を超え、ETCの当初目的であった料金所周辺の渋滞解消はほぼ達成された。こうした現状を踏まえて、国土交通省は11年3月から、全国の高速道路約1600カ所に設置した「ITSスポット」を利用できるDSRC(狭域通信、スポット通信)をスタートさせた。これはETCとしての機能を備えるだけでなく、VICS(交通情報通信システム)を活用した広域の道路交通情報を、リアルタイムで受信できるほか、カーナビを介して事故、故障車、工事、災害、落下物、積雪や霧などの気象条件等、道路上に発生したさまざまな危険事象やそれに伴う規制(通行止め、車線規制、速度規制、チェーン規制など)を事前に告知して安全運転支援を行う。しかし、DSRCの認知度は低く、普及も進まないため、国土交通省は14年10月、DSRCを「ETC2.0」と呼び、ETCの“第二世代”とのイメージをより強く印象づける方向に転換。ITSスポットサービスも「ETC2.0サービス」と名称変更した。今後は、渋滞の早期緩和や交通量分散を目的とした経路別料金優遇制度も導入予定で、事故や渋滞時に迂回(うかい)のためいったん一般道路へ出て、再進入しても料金が割増とならないプランも検討されている。