3歳限定で行われるクラシックレースのなかで皐月賞、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞を制した馬に与えられる称号。初代三冠馬は戦前のセントライト(1941年)で、以後、シンザン(64年)、ミスターシービー(83年)、シンボリルドルフ(84年)、ナリタブライアン(94年)、ディープインパクト(2005年)、オルフェーヴル(11年)と7頭誕生している。日本のクラシック体系の規範となったイギリスでは、1972年のニジンスキー(Nijinsky)まで15頭の三冠馬が出ているが、競馬のスピード化に伴って菊花賞に相当するセントレジャーの権威が失墜、三冠体系は形骸化していた。そうした時流に逆らうように、2012年にはキャメロット(Camelot)が40年ぶりの三冠に挑んだが、最後のセントレジャーで2着に敗れている。春に三冠レースが集中して行われるアメリカでも、達成できたのは11頭に過ぎず、1978年のアファームド(Affirmed)以来途絶えている。また、クラシックレースとは関係なく、特定の3レースを「三冠」と呼ぶケースもあり、86年にメジロラモーヌ(→「メジロ牧場」)が桜花賞、優駿牝馬(オークス)に加えてエリザベス女王杯に勝ってからは、「牝馬三冠」という呼称も生まれた。96年に3歳牝馬限定の秋華賞が創設され、エリザベス女王杯に4歳以上牝馬の出走が可能になると、桜花賞、オークス、秋華賞を「牝馬三冠」と呼ぶのが一般的となり、これまでにスティルインラブ(2003年)、アパパネ(10年)、ジェンティルドンナ(12年)が達成している。