フランスのバンド・デシネ(BD)作家、エマニュエル・ギベール(Emmanuel Guibert)の作品。2011年1月に国書刊行会から野田謙介の翻訳で出版され、日本でも話題になった。副題は「アラン・イングラム・コープの回想録(D'aprs les souvnirs d'Alan Ingram Cope)」。ギベール自身が出会ったひとりの年老いたアメリカ人の戦争体験を描く。第二次世界大戦末期、2年間の訓練期間を終えてヨーロッパ戦線に送られたアラン。実際に交戦を体験することはなかったが、同世代の戦友たちや、フランス、ドイツ、チェコへの行軍で知り合った人々との出会いは、彼の人生を大きく決定づけることになる。戦争の中の日常と、アランの魂の流離(さすら)いがユーモアを交えた淡々とした筆致で描かれている。翻訳本は、00年から08年にかけて発表された原書3冊を1冊にまとめている。