ペルー料理の魅力は、南米大陸の海岸線、アンデス山脈の山岳地帯、アマゾン川の熱帯雨林地帯といったバラエティーに富む風土と気候に育まれたフルーツや穀物などの未知の素材。もっともポピュラーなメニューはセビチェで、生の魚介類をアヒ(唐辛子)、レモン、赤タマネギなどでマリネした料理。もともと長時間漬け込む料理だったが、40年程前に移住した日本人が魚に塩をして締め、氷の上で冷やして出すスタイルを伝え、それが一気に広まった。日本にも十数店舗のペルー料理店がある。ペルーを含む南米は、世界のシェフが注目するエリアで、2013年9月、「ザ・ワールズ・フィフティー・ベスト・レストラン」の南米版も発表された。1位は、ペルーの「アストリッド・イ・ガストン」。オーナーシェフのガストン・アクリオは名実ともに南米を代表する存在で、13カ国で40店舗を展開中。ペルー政府も食に力を入れ、毎年9月に、「ミストゥーラ(Mistura ; リマ国際料理フェア)」を首都リマで開催している。13年は、10日間に40万人以上が訪れる一大イベントになった。一方、海外修業した若い料理人たちによる最新のテクニックを駆使したペルービアンと呼ばれる現代ペルー料理も話題だ。中南米からペルーへ修業に訪れる料理人も増え、世界の美食地図はますます広がっている。