2011年4月のボストン・マラソンでジョフリー・ムタイ(ケニア)が2時間03分02秒の驚異的なタイムをマークしたが、世界記録としては公認されなかった。ロードレースの記録公認要件は、スタート、ゴール両地点の標高差が下りこう配1000分の1以下(マラソンでは42メートル以内)で、かつ両地点間の直線距離が競技距離の2分の1以下(同21.075キロ)であること。片道で高低差136メートルの下りコースのボストンは、両地点間の直線距離も90%を超えていて二重に公認要件を満たしていないが、同じ片道コースでも東京マラソンは要件にかなっている。世界最古のマラソンで、30キロ付近から「心臓破りの丘」と呼ばれる起伏があるボストンだが、11年のレース時には強い追い風が吹いていたとされる。同年9月のベルリン・マラソンではパトリック・マカウ(ケニア)が、3年前に同レースでハイレ・ゲブレセラシエ(エチオピア)が樹立した記録を21秒短縮する2時間03分38秒の世界記録(当時)をマークした。