[一言で解説]
裁判は、裁判官が1人で行うこともあれば、複数で行うこともある。複数で行う裁判所を「合議制」の裁判所といい、裁判長以外の裁判官を陪席裁判官という。
[詳しく解説]
裁判員裁判が行われる地方裁判所の裁判は、6人の裁判員と3人の裁判官の合議で構成されます。3人の裁判官のうち、1人が裁判長を務めます。裁判長には、裁判員への説示、訴訟指揮、法廷警察(法廷の秩序を維持すること)などの責任と権限が与えられます。ですが、陪席裁判官にはそのような権限はありません。
法廷では、裁判長が真ん中に座り、その左右に2人の陪席裁判官、さらにその両脇に、裁判員が3人ずつ座るという席順です。真ん中の裁判長が一番、位が高いのですが、右陪席(裁判長の右手側)と左陪席にもそのキャリアに違いがあります。右陪席は、裁判長よりは若いけれども判事(判事補ではない)の職位にある人や、キャリア5年以上で最高裁の指名を受けた特例判事補(本来なら判事補だが、例外的に判事として認められた者)が当たります。これに対して、裁判長の左手側に座る左陪席は、おおむね、キャリア5年以下の判事補が当たることになっています。判決文を起案(下書き)するのも左陪席裁判官が通例のようです。ちなみに、中世の話ですが、左大臣は右大臣よりも位が高かったようです。天皇が南を向いたとき、その左側にいる左大臣は、日が昇る東側にいる点で位が上と考えられたようです。裁判官は天皇ではないので、むしろ長の「右腕」として右陪席裁判官に期待しているのかもしれません。