[一言で解説]
被疑者、参考人、被告人、証人などがしゃべったこと。刑事裁判で供述内容を証拠にするときは、伝聞法則の適用がある。
[詳しく解説]
新聞やテレビで「逮捕された〇〇容疑者が犯行を認める『供述』をはじめました」と報道されることがあります。供述とは、誰かがしゃべったことです。被疑者・被告人に限らず、証人の証言も供述です。供述内容を証拠に使うときには注意が必要です。ナイフや遺留品などと違って、しゃべった人が見間違いや聞き間違い、言い間違い、覚え違いをしているかもしれないからです。この間違いチェックは、当事者主義のもとでは反対当事者の役目です。たとえば「満月の晩だったので、刺した被告人の顔もはっきりと見えました」と検察側の目撃者が証言したとします。これに対して、反対当事者である被告人側の弁護人は「当日の夜は雨が降っていたので月は出ていません。顔は見えなかったのではないですか?」などとツッコミを入れるのです。このツッコミを反対尋問といいます。逆に、反対尋問を経ない供述証拠は間違いをチェックしていないので、供述内容を証明する証拠には使えないのが原則です。これを伝聞法則といいます。供述調書や実況見分調書など、書面に収められた供述は、法が許す例外的場合のみ、そのような証拠に使えるのです。
(関連項目)
→反対尋問
→当事者/反対当事者