互いに深く理解し、利害にとらわれない親密な交際をいう。中国の春秋時代、斉の管仲(かんちゅう)と鮑叔(ほうしゅく)とは親友の仲であった。ある日、商売を共同で始めることになり、管仲は分け前を余分に取った。鮑叔は管仲の貧しいことを知っていたので、少しの不平も言わず援助を惜しまなかった。のち管仲は斉の国の宰相にまでなった人であるが、「我を生みし者は父母、我を知る者は鮑叔なり」と言って、生涯の親交を続けたという故事による。
〔類〕水魚の交わり/刎頸の交わり
〔出〕史記(しき)
〔会〕「親友、親友なんて言ってるけど、お金の貸し借りでもめるなんて、大した友情じゃない」「ああ、そうだ。管鮑(かんぽう)の交わりといって、ほんとうの友情は、そんな利害関係にとらわれないもんなんだ」