(「高楊枝」は、食後に悠然と楊枝を使うこと) 武士というものは、たとい貧しくて満足に食事が取れなくても、腹が減っているような顔をせず、満ち足りているように楊枝を使うものだということで、貧乏はしていても、志操は高くもって、けっして不義は行わないことにたとえる。気位の高い人は、いかなる困難にぶつかっても慌てず、やせ我慢をしてでも、清貧に甘んじているような顔をしていることをいう。
〔類〕渇しても盗泉の水を飲まず/侍(さむらい)食わずに高楊枝/鷹は飢えても穂を摘まず
〔出〕歌舞伎(かぶき)・樟紀流花見幕張(くすのきりゅうはなみのまくはり)
〔会〕「今日は弁当か」「いや、食事に行くのがめんどうでさ」「武士は食わねど高楊枝か。まさかダイエットでもあるまい」