2009年10月のギリシャにおける財政赤字規模の隠ぺい発覚により、同国の債務不履行(デフォルト)のリスクが高まったことを発端とする、一連の経済危機のこと。単に欧州危機とも呼ばれている。これを契機に、他の財政赤字の大きい国(ポルトガル、イタリア、アイルランド、スペインなど)にもその影響が波及し、ユーロ圏17カ国全体の信用危機として問題が拡大している。ギリシャと合わせて、これらの国は頭文字をとってPIIGS(ピッグス)と呼ばれている。こうした国々はユーロ導入後、高い信用力を得て国債を多発し、放漫な財政運営をしたことから、リーマン・ショック後の経済環境の変化の中で種々の問題が顕在化してきた。その後PIIGS諸国だけではなく、これらの国の国債を大量に保有するヨーロッパ域内の銀行が市場の注目を集め、11年10月にはギリシャやイタリアの国債を大量に保有していた大手銀行の経営破綻(はたん)にまでつながった。また、支援国の方でも、フランスでは財政構造改革の遅れなどにより、国債の格付けが最高位から引き下げられている。こうした状況が続けば、ユーロ信任の低下、制度の維持可能性にまで進展する可能性もあり、欧州連合(EU)では欧州金融安定基金(EFSF) 及び欧州安定メカニズム(ESM)を構築し、さらに銀行監督の一元化を通じた危機への迅速な対応を目指している。