債務問題に端を発するヨーロッパにおける信用不安の抑制や、資金繰りが困難となった国を支援するためのユーロ圏のセーフティーネットのこと。これまで、時限的な枠組みとして欧州金融安定基金(EFSF)があったが、ESMへ移管され、常設の枠組みとして2012年10月に設置された。ヨーロッパ版の国際通貨基金(IMF)と位置づける向きもある。ESMによる支援を受けるためには、財政規律条約(→「経済通貨同盟の安定、調整及びガバナンスに関する条約」)へ参加していることが条件となっている。
12年6月にはユーロ圏第4位の経済規模を誇るスペインがEFSFに対し支援を要請しており、スペインへの融資はESMを介して実施される。融資の方法については、当初はESMから各国政府を通じて実施されていたが、金融機関への直接資本注入が可能となるように調整中である(12年12月時点)。一方、スペインは支援を受けるために、付加価値税(日本の消費税に相当)を18%から21%に引き上げ、公務員の給与削減や政党などへの補助金削減などを柱とする緊縮策を発表した。