金融政策の最終目標としての物価安定の内容を具体化する意味で、中央銀行が示す望ましいインフレ率のこと。インフレ参照値の設定は、望ましいインフレ率達成までの期限を定めず、中央銀行の説明責任も明確でないなどの点で、インフレ目標政策とは異なる。1990年代後半から深刻なデフレーションに陥った日本では、2000年10月13日の日本銀行政策委員会・金融政策決定会合において「経済・物価の将来展望とリスク」(その後「経済・物価情勢の展望」と改称)を年2回(4月、10月)公表し、実質GDP成長率とあわせて消費者物価指数変化率などの物価見通しを公表することが決定された。さらに、06年3月の量的緩和政策解除に際して、日本銀行は、政策委員が考える中長期的な「物価安定の目安」が消費者物価上昇率で0~2%(中心値は1%前後)であると公表した。ただし、「物価安定の目安」は、金融政策の運営を縛るものではないというのが日本銀行の公式見解である。