社債や貸出債権などの信用リスクに対する保険の役割を果たす一種の金融派生商品(デリバティブ)。社債や貸出債権などを保有している主体(銀行などの投資家)は、CDSの売り手(証券会社や保険会社など)に対して保証料を支払う見返りとして、対象債権が債務不履行に陥った場合には、その損失をCDSの売り手に補償してもらうという形で信用リスクをヘッジすることができる。CDSは1990年代後半に開発された新しい金融派生商品であり、当初は個別企業などの信用リスクを対象としていたが、次第に幅広く取引されるようになるにつれて、代表的なCDSの保証料を平均した指数や、CDSを組みこんだ債務担保証券(CDO)も活発に取引されるようになった。業界団体である国際スワップ・デリバティブズ協会によれば、CDSの想定元本は2007年末で62兆ドルの巨額に達したが、サブプライムローン問題を契機として世界的な金融危機が広がる中で、08年6月末には54兆ドルへと縮小した。08年9月に経営破綻したアメリカの大手証券リーマン・ブラザーズを対象にしたCDSは、清算が実施されて損失率91%と確定された。また、CDSの大手売り手(4000億ドル超)であったアメリカの最大手保険会社AIGが同年9月に経営危機に陥ったため、同年10月以降、政府・連邦準備制度による融資・資本注入などの措置がとられ、AIGは実質的に政府管理下に置かれることになった。