各国の中央銀行が、サブプライムローン問題に端を発した金融危機に対処すべく、伝統的な金融調節手段や買い入れ対象金融資産を拡大する形で、さまざまな異例の措置を採用したこと。伝統的な金融政策は、その操作目標である短期金利をコントロールするための金融調節において、主として短期国債など短期で安全性の高い金融資産を買い入れ対象に限定するのが通例であったが、今回の金融危機に際しては、信用市場の逼迫(ひっぱく)状態を緩和するためにコマーシャルペーパーや社債などの民間債務を直接買い入れたり、幅広く資産価格を下支えするためにモーゲージ担保証券・政府機関債・長期国債を買い入れたりするなどの緊急措置が採用された。日本銀行も、2009年1~3月にコマーシャルペーパーや社債の直接買い取り、および、それらを担保とした企業金融支援特別オペを臨時異例の措置として実施に移したほか、金融機関の信用仲介機能を維持強化する狙いで金融機関保有株式の買い入れを再開した。なお、今回の金融危機に際してアメリカ連邦準備制度理事会やイングランド銀行は非伝統的政策としての長期国債買い入れに踏み切ったが、日本銀行の場合、従来から長期国債買い入れを金融調節手段の一つとして実施しており、非伝統的金融政策には当たらない。