資金流出に備えて、銀行に一定比率以上の流動性資産を保有することを求める規制。2007年春ごろからのサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機に際しては、各国の金融市場において流動性危機が繰り返し発生したため、金融機関の抱える流動性リスクが注目されるようになった。バーゼル3においては、流動性カバレッジ比率(LCR 現金・国債などの適格流動資産÷30日間のストレス期間に想定される資金流出額)が100%以上であることを求める規制が15年から実施される。同比率の分母である資金流出予想額を算定するに当たっての掛け目は、即座に引き出される可能性があるホールセール(ことに無担保)調達については高くなっている一方、安定的なリテール預金については低くなっている。また、不安定な短期調達によって長期固定的な運用を行うといった期間ミスマッチの問題に対処する狙いでのネット安定調達比率(NSFR 1年超の安定調達額÷所要安定調達額)を導入することも検討されているが、各国のビジネスモデルの違いを考慮に入れない一律の比率適用には銀行関係者からの異論が多いことから、当面は観察期間とした上で、最低基準の導入時期を18年に先送りしている。