文字通りの意味は資産の現金化であるが、一般的には、特に中央銀行が国債を引き受けて財政赤字のファイナンスを行うことを指す。国債の中央銀行引き受けにより、政府は強力な財政刺激策を自在に実行することができ、究極のデフレーション脱出策といえるが、その半面で、「財政の僕(しもべ)」と化した中央銀行はマネタリー・ベースの増加をコントロールできなくなるため、通貨に対する信認を低下させ、結果的にはインフレーションを招く危険性が高いといわれている。現行の「財政法」(第5条)は、第二次世界大戦中の膨大な軍事費が日本銀行の国債引き受けによって賄われ、それが戦後の悪性インフレーションを招いたことに学び、特別の事由がある場合を除いて日銀の国債引き受け発行(日銀の引き受けを前提とする政府の国債発行)を禁止している。なお、政府が国債をいったん市場で発行した後、日銀が買いオペレーションの対象とする場合には、マネタリー・ベースは不変であり、日銀による国債引き受けとは違う点に注意する必要がある。