日本銀行が2013年4月から異次元緩和政策を推進する中で市場から大規模に購入した国債(国庫短期証券を除く)の保有残高。14年12月10日時点で202兆2677億円であり、同時点での日本銀行券発行残高(90兆7305億円)の2倍強となっている。14年10月には追加緩和措置として長期国債の保有残高の増加ペースを年間50兆円から80兆円に拡大することが決定されており、15年末時点の保有残高は280兆円に達する見込みである。銀行券ルールの一時停止時に懸念されたように、日本銀行が実質的に国債引受機関となりつつある。異次元緩和政策のインフレ目標が達成された後の出口戦略において、金利上昇とともに日本銀行が巨額の売却損失ないしは評価損失を被るのは必至であり、日本銀行による国庫納付金の消滅にとどまらず、日本銀行の資本金償却や実質債務超過を招く懸念が大である。このため、異次元緩和政策からの脱却過程において日本銀行への信認を維持するのは極めて難しいと予想される。また、そうした事態を恐れて、日本銀行がインフレ目標達成後も異次元緩和政策を続行するならば、インフレーションの高進を招くリスクが大である。