日本銀行が政府に納める納付金。「日本銀行法」第53条により、日本銀行は各年度に得た剰余金(所要の経費・税金を支払った後の最終的な利益)から法定準備金(通常は剰余金の5%)および出資者への配当(最高5%)を控除した金額を年度終了後2カ月以内に国庫に納付しなければならないとされている。日本銀行の剰余金は日本銀行券を独占的に発行することによって得られた通貨発行益であり、原則として国庫に帰属すべきであるという考え方に基づいている。日銀納付金は、各年度における国の一般会計の歳入金となり、最終的には一般歳出として国民に還元される。2014年度における日銀の剰余金は1兆90億円(前年度比2848億円増)であり、国庫納付金は7567億円(同1774億円増)であった。ただし、15年度決算からは国債の利息収入の50%を引当金として積み立てるように制度変更されたため、国庫納付金は今後数千億円規模で減少する見込みである。さらに、将来において日本銀行が量的・質的緩和(→「異次元緩和政策」)からの出口戦略を実施に移す際には、民間金融機関が保有する多額の日銀当座預金に対する利払い費(→「補完当座預金制度」)の増加によって日銀決算が赤字となり、日銀納付金はゼロになる事態が懸念される。なお、旧「日本銀行法」付則にあった政府による損失補填条項が1997年6月の「日本銀行法」改正で廃止されたため、日本銀行は、損失を計上すれば準備金の取り崩しなどにより自己責任で処理する必要がある。