債券市場においては短期から長期にかけてさまざまな残存期間の債券が存在するが、それらの利回りを縦軸にとり、残存期間を横軸にとったときに描かれる曲線(利回り曲線)のこと。なお、債券利回りは、当該債券の発行体の信用度や、市場の発達度合いなどによっても影響されるため、同一種類の債券(通常は、国債)に対象を絞ってイールドカーブを描く必要がある。イールドカーブの形状がどのようなものになるのかを説明する基本理論が、長期債利回りは当該債券の残存期間に対応する将来の短期金利予想値の平均値として決定されるという「期待理論」(expectations theory)である。また、通常のイールドカーブの形状が、短期債利回り(短期金利)よりも長期債利回り(長期金利)の方が高い右上がりとなるのは、残存期間が長くなるにつれて増大するリスク・プレミアム(→「金利リスク」)の存在によって説明される。日本銀行が2016年9月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和は、10年物国債利回りを0%程度で誘導するとしているが、これは日本銀行が今後10年間にわたって短期金利を0%近辺(若干のマイナス金利)で据え置くことを含意しており、消費者物価指数の前年比上昇率が安定的に2%を超えるまでマネタリー・ベースの拡大方針を維持する方針と相俟って、まさに「オーバーシュート型コミットメント」を宣言していることになる。