日本銀行が、2016年9月21日の金融政策決定会合において新たに導入した「長短金利操作」を中心とする金融緩和の枠組み。日本銀行は、16年1月29日に導入した日本銀行当座預金へのマイナス金利(-0.1%)(→「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」)付与を継続するとともに、10年物国債利回りをゼロ%程度で推移するよう誘導することによってイールドカーブをコントロールすると主張している。長期国債利回りの誘導方法は、これまでと同様(年80兆円程度)の国債買い入れを軸とし、利回りを指定した国債買い入れ(指値オペ)などの新たな金融調節手段によって補強する。日本銀行は、13年4月の量的・質的金融緩和政策(→「異次元緩和政策」)導入以来重視してきた「量」から再び「金利」へと金融緩和の枠組みを回帰させたことになる。もっとも、同時に「オーバーシュート型コミットメント」と称して、インフレ目標政策に対する人々の信認を高める狙いで、消費者物価指数の前年比上昇率が安定的に2%を超えるまでマネタリー・ベースの拡大方針を維持するとも表明しており、いまだ「量」を重視した枠組みにこだわり続けているようにも見える。