ある個人または組織(機関)が複数の目的を追求するときに、それらの目的の間で起きる衝突のこと。利益相反の問題が起きると、会社の経営状態や金融商品の内容などに関する情報が隠されたり、誤った情報が提供されたりすることになる。最近におけるアメリカで起きた利益相反の事例として、(1)投資銀行(→「インベストメント・バンキング」)が、証券の引き受け・販売を行うと同時に、それら証券の発行体に関する調査を行う例(発行体に有利となるよう楽観的な調査レポートを作成する)、(2)会計事務所が、顧客企業の監査を行うと同時に、コンサルティング・サービスを提供する例(コンサルティング・ビジネスを獲得する狙いで、監査を甘くする)、(3)格付け会社が、投資家などに対して格付け情報を提供する一方で、証券の発行体から格付け手数料を受け取る例(サブプライム・ローン関連の複雑な証券化商品ビジネスで多額の手数料収入を得るために、より高い格付けを得られるように組成方法を指導する)などが、あげられる。日本の金融庁が最近問題視しているのは、投資信託の販売会社が系列の証券会社の商品を優先的に顧客に勧めるとか、銀行が保険商品の窓口販売において手数料の高い商品を優先的に取り扱うといった事例である。