金融サービス面で低所得層や異民族などが排除される問題。イギリスで提起され、オーストラリア、カナダ、香港などさまざまな国・地域で議論されている。日本でも金融庁が平成28事務年度(2016年7月~17年6月)「金融行政方針」において日本型金融排除の実態把握を重点施策の一つに掲げたことから関心を集めている。金融庁の問題意識によれば、日本の金融機関は、十分な担保・保証のある先や高い信用力のある先に対しては激しい融資競争を展開する一方、担保・保証はなくても事業に将来性がある先や信用力は高くはないが地域になくてはならない先に対する取り組みが不十分ではないかというものである。金融庁は、金融機関(ことに地域金融機関)のビジネスモデルとして担保・保証に過度に依存せず、事業性評価に重点を置いた融資姿勢を求めているが、お金の貸し借り(→「金融」)にとって最も根源的な課題である逆選択問題を解決するためには、貸し手である金融機関による借り手の事業評価と並んで、借り手に節度ある行動を促すための手段としての担保・保証があることを忘れてはならない。