土地を所有する個人を対象にした賃貸アパートメント(集合住宅)建設資金の融資。アパートの建設請負業者が建設や入居者の募集を担い、ローンの借り手となる土地所有者はアパート経営によって得られる家賃収入をローンの返済に充てる仕組みである。2015年の税制改正で相続財産からの控除金額が縮小され、相続税の課税対象者が一気に増えたこともあって、節税目的でローンを組みアパート経営に乗り出す土地所有者が、三大都市圏のみならず、地方においても増加している。日本銀行のマイナス金利政策(→「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」)で収益環境が厳しいメガバンクや地方銀行などが数少ない成長分野としてこぞって力を入れており融資競争が過熱化している。日本銀行の調べによると、2016年9月末で国内銀行のアパートローンは約35万件で残高は約22兆円(前年同月比+4%)である。もっとも、人口減少が加速する地方を中心にアパートの空室率が上昇傾向をたどっており、家賃には下落圧力がかかってアパート経営の収支は今後悪化していくことが懸念されている。また、賃貸アパートの乱立による家賃の下落は、消費者物価を押し下げる要因となるため、インフレ目標(→「インフレ目標政策」)の達成を目指す日本銀行にとっても新たな懸念材料である。