日本銀行を代表し、政策委員会(→「日本銀行政策委員会」)の定めるところに従い日本銀行の業務を総理する人。総裁は、衆参両院の同意を得て内閣が任命する。いわゆる国会同意人事である。任期は5年であり、現在の黒田東彦第31代総裁は、2018年4月8日に任期満了となるが、再任されることができる。第二次世界大戦後においては、一万田尚登第18代総裁と山際正道第20代総裁の二人が再任されて5年以上の在任期間を記録している。一万田総裁は、「ローマ法王」と称された権勢ピーク時にいわば当然のごとく当時の吉田茂内閣によって再任されたのに対して、山際総裁は、健康問題を理由に本人は難色を示したものの、当時の池田勇人首相の懇請によって渋々再任を受諾したとされている。「アベノミクス」を金融政策面で強力に推進してきた黒田総裁が安倍晋三内閣によって再任された場合には、難航必至とみられる出口戦略(→「テーパリング」)の遂行、そのために必須である財政規律回復という重荷を背負うことになろう。