企業が自発的に会計方針を変更した場合や財務諸表の表示方法を変更した場合などに、過年度の財務諸表を新たに採用した方法で遡及修正して表示すること。国際的な会計基準である米国会計基準や国際会計基準では過年度遡及修正が義務付けられているが、日本では旧商法や税法の制約から遡及修正は認められないとされ、過去の財務諸表をさかのぼって処理せずに、損益計算書において「過年度修正損益」などの勘定項目を用いて、その影響額を当期の財務諸表に表示する会計処理が行われてきた。これに対して、期間比較が困難になるとの批判がなされてきた。しかし、国際会計基準審議会(IASB)とのコンバージェンスにおいて検討項目とされたことや、新会社法の制定により過年度計算書類の修正が容認されたことを受け、企業会計基準委員会(ASBJ)は過年度遡及修正専門委員会を設けて基準化作業を行った。ASBJは過年度遡及修正をコンバージェンスの中期プロジェクト項目に定め、2009年12月に会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準を公表した。この過年度遡及会計基準は、11年度4月1日以後に開始する事業年度の期首前後に行われる会計上の変更や過去の誤謬の訂正から適用が求められている。