株式会社では、一定数以上の株式を保有する株主は、株主総会に議案を提出できる。この株主提案の内容が、会社提案と対立する場合、提案株主と会社の双方が、より多くの支持を集めるために、株主からの委任状の獲得をめぐって競争することをさす。近年、保有割合の大きい機関投資家が、議決権行使を積極化させているため、少数株主の提案でも、機関投資家の支持が得られれば成立する可能性もある。日本でも、2002年6月の東京スタイルの株主総会をめぐって、配当の大幅増額を求める村上ファンドと経営陣との間で、初めての本格的な委任状争奪が行われた。このケースは、経営陣側の勝利に終わったが、海外の機関投資家を中心に株主提案への賛成も多く、07年2月には、東京鋼鉄の提案した大阪製鉄との経営統合案が、大株主である投資ファンドいちごアセットマネジメントの反対にあい、否決されるという事態も生じた。委任状争奪で優位に立つためには、ISS(Institutional Shareholders Services)など議決権行使アドバイスを行う機関(→「助言会社」)の支持を得ることが重要である。