上場企業の経営陣が、自社の経営支配権を取得する企業買収。経営者個人が資金を用意できない場合、投資ファンドが拠出することも多い。現代の大企業では、株主と経営者が一致しない「所有と経営の分離」(separation of ownership from management)が進んでいるが、MBOによってその分離が解消され、株主と経営者の利益相反問題が生じなくなる。このため、一般株主が好まない短期的な経営悪化をともなう戦略の実行など、経営上の選択肢が広がるとされる。2005年7月以降、ワールド、ポッカコーポレーションが相次いでMBOによる非公開化を実施したほか、06年以降も実施例が相次いでいる。MBOは買収防衛策と結び付けて理解されることもあるが、実際には、非公開の状態で経営改革と事業戦略の転換を進めた上で、改めて株式を公開するケースも多い。経営者は一般の株主に対して情報優位にあるため、MBOの実施に際しては、買収価格の算定などを公正に行うことが重要である。07年3月のレックス・ホールディングスのMBOでは、全部取得条項付株式を使った少数株主排除が試みられたが、裁判所への価格決定の申し立てが行われるなど、株主の反発を受けた。