発行者である株式会社がすべての株式を取得する権利を留保する種類株式。2005年に制定された会社法の下で、種類株式の多様化の一環として発行が認められることになった。会社法の制定へ向けた審議過程では、経営の行き詰まった企業を再生させるためには既存株主の持ち分をいったんゼロとし(100%減資)、新たな出資者による資金を受け入れることが必要だが、そのような手続きにはすべての株主の同意が必要とされ、上場企業等では実現困難なため、普通株式を全部取得条項付株式に転換して会社がすべて取得する途を開くべきだ、といった議論がなされた。ところが実際には、07年にレックス・ホールディングスがMBOによる非公開化を実施した際、経営陣による買付条件を不服としてTOBに応じなかった少数株主から株式を取得するために、全部取得条項付株式への転換が実施され、非公開化の手段としての活用が注目されるようになっている。