国語辞典などによれば、政局とは政治ないし政界の状態、あるいは成り行きを指す。しかし政局という言葉は、総選挙にともなって生じるような政界の大きな変化ではなく、もっと狭く、「政局になる」とか「政局にする」とか、同じ党の政権下で起こる変動を指す用語として、プロ政治家の間で用いられている。2006年9月に小泉政権が終わってから、ほぼ1年の在職期間で首相が代わる短命政権の事態がその結果である。議院内閣制を採用している国においては、与党内の反乱のために政権運営が困難になると、首相は議会の解散権を行使して総選挙を行い、首相に従順でない与党を罰し、あるいは解散権の行使を威嚇の手段として用いて、与党の結束を回復する。また政権についている間は党首選挙に立候補するには一定数以上の支持を必要とするような条件を定めて、首相の地位の安定を図るものである。自民党長期政権下にあっては、政党間の政権交代がないままで定期的に首相を交代させてきたために、首相の地位は弱く、民主党政権もまたこの弱い首相の伝統を継承した。こうして政局の変動と、短命政権が常態化した。